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椿の花

お休みの今日、駅でいうと2駅くらいの、ちょっと遠出のお散歩をしてみた。

あまり歩いたことのない閑静な住宅街を歩いてると、

向こうから歩いて来たロングヘアの見知らぬ老婆が私を呼び止め、

「はい、これ。」

と、椿の切り花を差し出した。

「・・・え・・・っ?・・・」

と私が戸惑っていると、

「この間、約束したでしょう、これ家の庭の椿よ。貰って。」

という。

いかにも「徘徊中」という風情の彼女だったので、

「そうでしたね、どうもありがとうございます。」と言って受け取った。

「貰ってくれてありがとう」

と言って老婆は立ち去って行ったが、

少し寂しげな後ろ姿に心がチクリと痛んだ。

家に帰ってから、その小さなピンクの椿と、

井の頭線の線路脇に生えていた黄色い花を生けてみたら、

なかなか可愛い。

そういえば一昨日はお爺ちゃんの命日だったな。

お彼岸だし手向けの花にして、偲んでおこう。

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エッセイ
後でもう一度お試しください
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